時間の流れとペルソナ——本郷奏多の結婚から覗く、韓国インディーズの現在地

GACKT(52)がX(旧Twitter)に投稿したある祝福の言葉に、ふと時間の残酷なほどの早さと、それがもたらす人間模様の妙について考えさせられた。先日、一般女性との結婚を発表した俳優の本郷奏多(35)へ向けたメッセージである。

二人の付き合いは、2003年公開の映画『MOON CHILD』での共演にまで遡る。当時、本郷はまだ10歳、GACKTは28歳だった。「彼が成人した日を一緒に祝い、初めて教えた酒がテキーラ。。。そのせいか今では驚くほど酒が強い」と、かつての子役が酒豪の大人へと成長したプロセスをしみじみと振り返るGACKT。さらに「それでも、【あの奏多が結婚】と聞くと、時間の流れに一瞬置いていかれる」と驚きを隠せない様子で、「改めて、本当におめでとう。幸せになってくれよ」とエールを送っていた。

興味深いのは、彼らがポーカーという知的遊戯を通して今も繋がっていることだ。2023年にマニラで開催されたポーカー大会で本郷が4位入賞を果たした際、GACKTは「やるじゃん、奏多。さすがだ」と称賛。ドラマ版『アカギ』でギャンブルの天才・赤木しげるを演じ切った本郷に対し、「今度はリアルアカギと勝負してみるか」と持ちかけたのだという。スクリーンの中の「ペルソナ(役柄)」が、現実世界のポーカーテーブルで生身の勝負師とシンクロする。一人の人間が時間をかけて多面的なアイデンティティを獲得していく様は、どこか一つの芸術作品を見ているかのようだ。

奇しくも、こうした「時間のスケール」や「自己の多面性」といったテーマは、海を越えた韓国のインディーズ音楽シーンにおける今春の潮流とも不思議な共鳴を見せている。韓国音楽レーベル産業協会が運営する「Kindy Lounge」が発表した、4月の注目すべき新譜4作のラインナップを眺めていると、そんな偶然のリンクに思考が引っ張られる。

まずは先月20日、バンドDiversityがリリースしたシングル「3 Million Light Years(300万光年)」。メンバーのユ・ヨルム(You Summer)によるこの新譜は、彼らの1stフルアルバムに先駆けた先行公開曲だ。宇宙規模の愛という途方もないスケールをテーマに掲げ、手が届く範囲の現実の中でその愛を証明したいという渇望を叙情的に鳴らしている。300万光年という絶対的な距離感は、GACKTが本郷の成長に感じたような「時間の途方もなさ」とどこか重なる。

続く23日には、Rooftop Patioがシングル「Persona」を発表した。アニメーション『Earworm』の挿入歌として制作された本作は、他者の視線によって変質していく自己のひび割れを克明に描く。社会的な仮面(ペルソナ)と実像との間に生じる埋まらないギャップを通して、「自分とは一体何者なのか」という根源的な問いをリスナーに突きつける。これはまさに、“リアルアカギ”として現実とフィクションの境界を漂う本郷の在り方にも通じる、現代的なアイデンティティの揺らぎそのものだ。

さらに27日、女性2人組バンドOmOが6thシングル「REBEL+ER」をリリースした。善と悪が混沌と混ざり合う現実世界において、自分自身のダークサイドさえも受け入れ、完全な自己の姿を探求するというプロセスを歌った一曲である。彼女たち自身が直接プロデュースとアレンジを手掛けており、そのサウンドには生々しい体温が宿っている。

そして29日には、新人3人組バンドHaverny Dayがシングル「Marie」を世に送り出した。前作「Lily」に対するアンサーソングという位置付けの本作は、同じ風景を見つめる二人の語り手の視線が、入り組んだ時間軸の中で交錯する。「手紙」というアナログな形式を借りることで、関係性が途絶えた後もなお残り続ける感情の痕跡を巧みに表現しきった。

Kindy Loungeは今年、インディーズマガジンや映像チャンネル「Channel Kindy」を通じて、アーティストのインタビューやライブ現場の熱量など、こうした多様な音楽の生態系を広く大衆に届けていく計画だという。

一人の俳優が歩んだ20年以上の歳月と人生の節目。そして、遠く離れた場所で新しい世代のミュージシャンたちが紡ぎ出す、自己探求と時間の交錯を巡る音楽。まったく別の次元で起きているこれらの出来事は、私たちが「今」という時間をどう生き、どう変化していくのかという問いの前で、静かに、そして確かに交差しているように思えてならない。

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