ゼネラル・モーターズ、EV事業縮小で71億ドルの特別損失を計上へ

米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は8日、電気自動車(EV)戦略の見直しや中国事業の再編に伴い、第4四半期決算において71億ドル(約1兆円)規模の特別損失を計上すると発表した。米国における政策変更や市場環境の変化を受け、これまで積極的に推進してきたEVシフトの軌道修正を余儀なくされた形だ。

政策転換と需要鈍化による戦略見直し

今回の巨額損失計上の主な要因は、北米市場におけるEV需要の減速にある。同社は証券当局への提出書類の中で、消費者向けの税制優遇措置の終了や排ガス規制の緩和といった政策変更が響き、2025年にかけて業界全体でEV需要が鈍化したと説明している。

ドナルド・トランプ氏による政策方針の転換も、こうした動きに拍車をかけた。気候変動対策に懐疑的な立場をとるトランプ氏は、前バイデン政権が主導してきたEV優遇策の多くを撤回する姿勢を示しており、GMを含む自動車メーカー各社は戦略の練り直しを迫られている。メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は2021年時点で「2035年までに販売する新車をすべてゼロエミッション車にする」との野心的な目標を掲げていたが、現在は消費者需要の現実に合わせ、投資計画を柔軟に調整する姿勢へと転じてる。

損失の内訳と中国事業の再編

発表された71億ドルの損失のうち、大半を占める約60億ドルはEV事業に関連するものだ。具体的には、サプライヤーへの和解金支払いや契約解除に伴う費用、その他の現金支出を要する項目として約42億ドルが含まれるほか、約18億ドルの減損処理(現金の支出を伴わない会計上の処理)も計上される。

残りの約11億ドルは、主に中国での合弁事業である上海GM(SAIC General Motors)の構造改革費用や、追加の法的引当金に関連するものである。GMは昨年10月の段階ですでにEV投資の見直しを表明しており、第3四半期にも16億ドルの評価損を計上していたが、当時からさらなる巨額の損失計上が避けられないとの見通しを示していた。なお、今回の特別損失は純利益を押し下げる要因となるものの、一時的な項目を除いた調整後利益には影響しないとしている。

業界全体の動向と今後の展望

EV戦略の見直しを進めているのはGMだけではない。競合のフォード・モーターも先月15日、政策の見通し変化を背景に、数年間にわたり約195億ドルの評価損を計上する計画を明らかにしており、米自動車業界全体が難しい舵取りを迫られている状況が浮き彫りとなった。

こうした逆風下にあっても、GMのポール・ジェイコブソン最高財務責任者(CFO)は、長期的にはEVの将来性を確信していると強調する。ジェイコブソン氏はCNBCに対し、生産コストを削減するために構造的な改革が必要であるとの認識を示した。同社は2026年にもEV関連の追加損失が発生する可能性があるとしているが、その規模は2025年実績よりも大幅に縮小する見込みだという。一方で、今後提案される規制変更の内容次第では、排出権クレジットに関連するさらなるコストが発生するリスクについても警告を発している。

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