秋が深まる中、アジアのプロ野球界では対照的な動きが見られます。韓国ではポストシーズンシリーズでかつてのライバルが激突する一方、日本ではクライマックスシリーズ進出を逃した球団がすでに来季を見据えた体制固めに入っています。
韓国:13年ぶりに実現した宿敵対決
韓国プロ野球(KBO)では、SSGランダースとサムスン・ライオンズによるポストシーズン第1ラウンドが今週から始まります。この両球団がポストシーズンで対戦するのは、実に13年ぶりのことです。
かつて10年以上前、両チームは3年連続で韓国シリーズの覇権を争うなど、激しいライバル関係にありました。当時はSSGの前身であるSKワイバーンズとして、2010年にはサムスンをスウィープで下し、翌2011年と2012年にはサムスンがリベンジを果たしています。
5回戦制で行われるこのシリーズは、レギュラーシーズン3位のSSGが本拠地アドバンテージを持ち、第1、2戦、そして必要であれば第5戦を仁川SSGランダースフィールドで開催します。一方、ワイルドカード決定戦を勝ち上がってきた4位のサムスンは、第3戦と第4戦を本拠地・大邱サムスン・ライオンズ・パークで戦います。
シリーズの展望と注目選手
かつての対決を知るベテランも健在です。SSGには当時を知るエースの金廣鉉(キム・グァンヒョン)と主砲の崔廷(チェ・ジョン)が今もチームを支えています。興味深いことに、現在のサムスンを率いる朴鎮萬(パク・ジンマン)監督は、2010年にはサムスンの遊撃手として、2011年と2012年にはSKの選手として韓国シリーズを戦った経歴の持ち主です。
今シーズンの直接対決では、サムスンが8勝7敗1分とわずかに勝ち越しています。特に、レギュラーシーズンで50本塁打を放ち本塁打王に輝いたサムスンのルーウィン・ディアス一塁手は、SSG相手に5本塁打を記録。ベテラン捕手の姜珉鎬(カン・ミンホ)も対SSG戦で打率.362と好成績を残しました。
対するSSGは、ギジェルモ・エレディア外野手が対サムスン戦で打率.378、6本の二塁打を放つなど、打線を牽引しています。投手陣では、KBO最強と評されるブルペンがSSGの最大の武器です。救援防御率はリーグトップの3.36を記録し、ノ・ギョンウン(41歳)がリーグ最多の35ホールド、チョ・ビョンヒョンが30セーブ、防御率1.60と鉄壁を誇ります。サムスン打線がこの強力なリリーフ陣をどう攻略するかが、シリーズの鍵を握るでしょう。
広島:新井監督の3年目シーズンへ
一方、日本では広島東洋カープが、新井貴浩監督(47)の来季続投を決定しました。就任2年目の今季、チームは8月まで首位を走るなど健闘を見せましたが、9月に急失速。6年ぶりのリーグ優勝はおろか、2年連続でのクライマックスシリーズ進出も逃す結果となりました。
しかし、松田元(はじめ)オーナーは現有戦力を最大限に活かした監督の手腕を高く評価。「当然。来季も指揮を執ってもらおうと思っています」と続投の意向を明言しました。シーズン最終戦を前に、来季の体制が固まった形です。
評価された手腕と来季への課題
球団が特に評価しているのは、投手陣の整備と若手の育成です。アドゥワ誠投手を一本立ちさせたほか、玉村昇悟投手や森翔平投手らに先発経験を積ませ、中継ぎでは黒原拓未投手や塹江敦哉投手といった左腕を成長させました。野手では矢野雅哉選手を遊撃手に固定するなど守備を強化し、投手を中心とした「守り勝つ野球」をチームに浸透させました。
一方で、シーズンを通して得点力不足という課題は解消できませんでした。特に、長打力を期待された新外国人野手2名が開幕早々に怪我で離脱したことが大きく響き、これについて松田オーナーは「そこは我々の責任」と語っています。
Bクラスが確定した後、新井監督は「まだ試合が残っているので、全て終わってから振り返りたい」と述べるに留めました。終盤の失速はチームの総合力の差とも言えます。3年目のシーズンに向け、松田オーナーは「若い選手がベテランを押しのける勢いで出てきて欲しい」と、チーム内のさらなる競争と若手の台頭に期待を寄せました。