50代の婚活が難しい理由とは――増える希望者と現実のギャップ

近年、50代や60代で結婚を希望する人が増加している。厚生労働省の外郭団体である国立社会保障・人口問題研究所は、5年ごとに「生涯未婚率」を発表しており、これは50歳時点で未婚である人の割合を示している。つまり、「50歳で未婚ならば、その後も結婚しない可能性が高い」と捉えられている。

しかし、時代は変わりつつある。50代や60代になっても「これからの人生を共に過ごすパートナーが欲しい」と考え、婚活を本格的に始める人が増えている。また、離婚や死別を経て再婚を望む人も多くなっている。

とはいえ、年齢が上がるにつれて婚活は難易度を増していく。なぜなら、同年代で結婚を希望する相手の数が少ないうえ、50代以降で初婚となる人は恋愛経験が乏しく、交際から結婚までのステップが掴みにくいからだ。一方で、恋愛経験が豊富な人ほど理想が高く、相手に選ばれないケースも多い。

たとえば、51歳の吉井由美子(仮名)のケースがある。現在は医療関係の会社で事務職として働いており、学生時代には読者モデルをしていたという。スタイルが良く、外見も若々しく洗練されている。

20代の頃には多くの恋愛を経験し、30代前半には結婚目前まで進んだ相手がいた。しかし、相手の家業の倒産で借金を背負うことになり、結局婚約は解消された。さらに38歳の時に出会った男性とは1年間交際したが、「一緒に住もう」と言われたものの、彼の意図は“結婚”ではなく“同棲”だった。結婚への責任感のなさを感じた彼女は、その関係を終わらせた。

このように、「恋愛はできるが結婚には至らない」状況が続き、気づけば50代を迎えていたという人は少なくない。特に女性側は等身大の相手を求めていても、結婚というステージに進むと何らかの障害にぶつかることが多い。

また、50代の婚活が難しいもう一つの理由は、男女間で結婚相手に求める条件が大きく異なることだ。女性は年齢の近い男性や年下でも構わないと考える傾向があるが、男性は若い女性を希望する人が多い。最近では収入の少ない男性が増えたことで、同世代の女性にも働くことを求める傾向もある。

ただし、50代になると、「年上の女性でもいい」と考える男性は極めて少ない。逆に、収入が安定している50代男性の中には「最後に子どもが欲しい」と希望する人も出てくる。だが、年齢と共に妊娠や出産のリスクが高くなる現実を受け入れられず、自分だけは大丈夫と思い込むケースも少なくない。

実際に、筆者が仲人を務める結婚相談所でも、50代の男性会員が真剣に子どもを希望し、ブライダルチェックを受ける例も見られる。

由美子も婚活を始めてからは積極的に活動していたが、年下の男性からはまったく申し込みがなく、来るのは同年代か年上ばかり。その中でも「子どもを望まない男性」に限定されるため、選択肢はさらに狭まる。一方で、由美子自身も60歳までという年齢の上限を設けていたため、マッチングの機会は少なかった。

お見合いを重ねる中で、気に入った相手からは断られ、断ろうと思った相手からは交際希望が来るという、典型的な婚活のジレンマに直面することになる。交際に発展しても、1〜2回会うと終了してしまうパターンが続き、婚活の難しさを痛感していた。

50代の婚活には、年齢だけでなく、経験、価値観、現実とのギャップなど、さまざまなハードルが存在する。だが、それでも人生の後半を共に歩むパートナーを求める人々は確実に増えており、社会の理解と支援がますます求められている。

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