カナダの小売大手アリメンテーション・クシュタール(Alimentation Couche-Tard)の経営陣が、木曜日に東京でプレゼンテーションを行った。
同社は、コンビニエンスストアチェーン「セブン-イレブン」の運営元である日本のセブン&アイ・ホールディングスを470億ドルで買収する計画を進めている。
クシュタールの最高経営責任者(CEO)、アレックス・ミラー氏は、セブン&アイ側がこれまで買収提案を拒否し続けていることに不満を示し、こう語った。
「私たちは、企業統治の透明性や価値創造の観点から、この提案を真剣に検討する時期が来たと考えています。今こそ交渉に向けて動き出す時です」
日本での懸念と説得の動き
セブン-イレブンは日本の街角に欠かせない存在であり、日本国内の消費者の間では、クシュタールによる買収が、定番商品の品質に影響を及ぼすのではないかという懸念が広がっている。特に、おにぎりなどの人気商品が変わるのではないかとの声も上がっている。
こうした不安を払拭するため、クシュタールは東京でのプレゼンテーションに加え、日本語と英語で買収の利点を説明するウェブサイトも開設。日本市場での理解を得るための「説得キャンペーン」を展開している。
また、同社は米国の独占禁止当局が買収を阻止する可能性についても懸念を和らげようとしている。
セブン&アイは、もし買収が実現すれば、クシュタールと自社のコンビニエンスストア事業が米国市場を独占することになると指摘し、規制当局の承認が得られないリスクを警戒している。
しかし、ミラー氏は一部店舗の売却を通じて、この問題に対応できると主張する。
「私たちは、事業の一部を売却する計画には大きな関心が寄せられると確信しています。世界レベルの経営体制とインフラを備え、高品質な店舗を構築し、しっかりとした売却プランを提示する予定です」
買収価格引き上げの可能性も
現在、クシュタールは、買収提案を前進させるため、買収価格の引き上げも検討している。しかし、それにはセブン&アイがより詳細な財務情報を開示することが条件となる。
ロイターの関係者によると、セブン&アイ側は、クシュタールの店舗売却計画の詳細が明らかになるまで、財務情報の開示には慎重な姿勢を崩さない方針だという。
交渉の行方は、日本市場の動向や米国の規制当局の判断次第で、大きく左右されることになりそうだ。