木曜日に本格的な幕を開けた2026年のメジャーリーグ。前日に行われたヤンキースがジャイアンツを完封した1戦を皮切りに、木曜日にはクイーンズでのメッツ対パイレーツ戦など全11試合が行われた。各地で投手戦や大差のゲーム、そして数多くのホームランが飛び交うなど、球春到来にふさわしい熱戦が繰り広げられた。しかし、こうした華やかなレギュラーシーズンの熱狂の一方で、国際舞台であるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)には深刻な問題が暗い影を落としている。
大谷翔平の起用法と「保険」の壁
スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」が1月31日に伝えたところによると、ドジャースの大谷翔平投手(31)が今回のWBCでマウンドに上がらない可能性が浮上している。すでに打者としての出場は決まっているものの、デーブ・ロバーツ監督はファンイベントの場で「彼はWBCでは投げず、シーズンに向けての準備を進める」と明言した。これは大谷本人の決断であるという。
実は、この判断の裏には昨今厳しさを増す保険問題が大きく影響しているとみられる。大谷は2023年に自身2度目となる右肘の手術を受けており、投手として実戦復帰を果たしたのは昨年の6月だ。保険契約の査定事情に精通する関係者は、こうした背景から「投球に関して保険契約を結ぶのは極めて困難だろう」と指摘している。
球界に激震を走らせる出場辞退の連鎖
影響は大谷一人にとどまらない。今回のWBCでは、保険の審査に落ちて出場を断念せざるを得ない選手が続出し、球界全体を揺るがす事態となっている。状況は極めて深刻で、プエルトリコ代表に至ってはチーム編成が立ち行かず、代表チームの出場自体の取りやめすら検討していると発表したほどだ。
同メディアによれば、2023年の前回大会以降、MLB選手の保険料は高騰の一途をたどり、審査基準も以前よりはるかに厳しくなっているという。過去に多くのケガを経験している選手や、直近のシーズンで60日間の負傷者リスト(IL)に入った選手、あるいは手術歴のある選手が審査から弾かれるのは典型的な例だが、その基準は選手ごとに異なり不透明な部分も多い。さらに今大会からは「37歳以上の選手は保険契約ができない」という新たな条件まで加わった。実際、2月24日に37歳の誕生日を迎えたばかりのドジャースのミゲル・ロハス内野手もこの規定に引っかかり、ベネズエラ代表入りを逃している。
躍動する新星たちが魅せたMLB開幕戦
国際大会がかつてない複雑な事情に直面し頭を抱える一方で、海を越えたMLBのグラウンドは未来への希望に満ち溢れていた。今年の開幕戦では、数々の若手有望株たちがメジャーデビューを果たし、いきなり強烈なインパクトを残したからだ。
メッツのカーソン・ベンジ外野手は、パイレーツのポール・スキーンズ投手からメジャー初安打となるホームランを放っただけでなく、2四球2盗塁とグラウンドを駆け回った。また、球界屈指のプロスペクトであるタイガースのケビン・マクゴニガルは、メジャーで見た最初の球をいきなり右中間へ弾き返す2点タイムリーツーベースに。その後もフェンス直撃の二塁打と2本の単打を固め打ちし、1987年のビリー・ビーン以来、球団史上2人目となる「デビュー戦での4安打」という偉業を成し遂げた。
若手たちの快進撃はまだ続く。フィリーズのジャスティン・クロフォードもセンターへの単打を2本記録した。昨季3Aで出塁率.411を残した卓越した打撃センスに加え、チームのスピードと守備力を引き上げる存在として早くも首脳陣の期待に応えている。カージナルスでは、1949年のトミー・グラビアーノ以来となる「開幕戦の1番打者」としてデビューしたJJ・ウェザーホルトが、第2打席で0ボール2ストライクからの厳しい球を見事に捉え、センターへ鮮やかなソロ本塁打を叩き込んだ。
そして、日本からの新たな刺客も最高のスタートを切った。ホワイトソックスに加入した26歳のベテラン、村上宗隆は、メジャー初出場の試合で2階席へと飛び込む特大のアーチを描いた。ベンジ、マクゴニガル、クロフォード、ウェザーホルト、そして村上の5人は、この日だけで合計18打数9安打、2本の二塁打と2本のホームランを記録。計13回も出塁し、野球界の未来が極めて明るいことをファンの前で堂々と証明してみせた。
苦い幕開けとなった中堅手
もちろん、全ての選手が笑顔で開幕戦を終えられたわけではない。パイレーツの中堅手オニール・クルーズにとっては、第1打席でヒットを放った事実さえも霞んでしまうほど、思い出したくもない一日となってしまった。
初回、クルーズは飛球の目測を誤り、走者一掃の三塁打を献上。さらに直後のプレーでも、前進してくる飛球を行き過ぎて二塁打にしてしまうという信じがたい連続ミスを犯した。試合後、彼は「今日は太陽が正面にあって本当にやりづらかった。ベストを尽くしたが難しかった」と弁明した。
確かに太陽の光は不運だったかもしれないが、彼の守備力の低さは今に始まったことではない。昨季も中堅手として規定到達者の中でワースト2位となるDRS(守備防御点)マイナス14を記録しており、集中力の欠如や不用意なミスが多すぎると指摘され続けている。この日、先発のスキーンズ自身も決して本調子ではなかったが、センターを守るクルーズの拙い守備がエースの足を大きく引っ張ったのは間違いない事実だ。