日本のエンタメ界を賑わす「VIVANT」の未回収伏線と、ハリウッドが直面した東京ロケの洗礼

堺雅人主演のTBS系日曜劇場「VIVANT」が17日に激動の最終回を迎え、放送終了後もSNS上では視聴者による熱のこもった考察合戦が続いている。物語の根幹に関わる多くの謎が解き明かされた一方で、視聴者の関心を強く惹きつけているのが「奇跡の少女」ジャミーンと、阿部寛演じる公安刑事・野崎との関係性だ。劇中でジャミーンには「人の善悪を見抜く能力」があることが明かされたが、彼女は最後まで野崎に対して心を開くことはなかった。この点について、主要キャストである嵐の二宮和也も自身のX(旧ツイッター)で言及するなど、単なる演出以上の意味が含まれている可能性が高い。

続編への布石か?野崎の「正義」を巡る視聴者の視点

ネット上では、この「懐かない」という事実こそが続編への伏線であるとの見方が強まっている。ラストシーンで見せた野崎の含みのある笑顔に対し、「続編での敵は野崎ではないか」という大胆な予測も飛び出した。ジャミーンの目が捉える「善悪」の定義は主観的なものである可能性もあり、優しいベキを追い詰める立場の野崎が、彼女にとっては「悪」として映っていたという解釈も成立する。この未解決の謎は、ドラマが終わってもなお、視聴者の想像力を掻き立て続けている。

ハリウッド制作陣が学んだ「日本式」撮影の流儀

国内ドラマがフィクションの中で「善悪の曖昧さ」を描く一方で、現実の東京で撮影を行っていたハリウッドの制作チームもまた、日本特有の文化的な「曖昧さ」と「調和」の洗礼を受けていた。ブレンダン・フレイザー主演、サーチライト・ピクチャーズ製作の映画『Rental Family(原題)』のプロデューサーであるジュリア・レベデフとエディ・ヴァイスマンは、東京でのロケ撮影を通じて、アメリカとは全く異なる映画製作の現実に直面することとなった。

2024年の春、あるマンションでの撮影準備中に起きた出来事がその象徴だ。近隣住民から撮影による騒音への懸念が寄せられた際、オーナー側は撮影許可を撤回したのである。契約社会であるアメリカでは、一度合意した場所貸し出しのキャンセルは法的措置に発展しかねない事態だが、日本では近隣とのコミュニティや「和」が最優先される。法的な拘束力よりも、近隣への配慮が重視されるこの文化に対し、プロデューサー陣は当初こそ戸惑ったものの、次第にその精神を受け入れ、「プランBのさらに予備のプラン」を用意するという柔軟な対応策を身につけていった。

異文化を乗り越えて結実した作品の評価

HIKARI監督と共に企画を立ち上げてから約5年、制作陣は通訳を介した長時間にわたる会議を重ね、こうした文化的なニュアンスの違いを埋める努力を続けてきた。東京という広大な都市での移動時間の長さも考慮し、一日一箇所に絞った撮影スケジュールを組むなど、徹底した現場対応が行われた。その苦労は報われ、トロント国際映画祭では批評家から高い評価を獲得している。特に『ザ・ホエール』以来の主演作となるブレンダン・フレイザーの演技は絶賛されており、日本独特の空気感の中で撮影された本作は、11月の劇場公開に向けて大きな期待を集めている。日本のドラマが描く謎と、海外映画人が直面した現実。そのどちらもが、一筋縄ではいかない日本の奥深さを物語っているようだ。

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