マジックという芸術には、身体能力と知力の両方が要求される。その融合こそが私がこの世界に魅了され続ける理由だ。驚きは尽きることなく、例えば友人がサインしたカードが、他人のビールジョッキの下から現れる瞬間など、そのたびに「もう見尽くした」と思った自分を覆す演出が繰り広げられる。
そのような驚異が再び観客を魅了するであろうイベントが、2025年5月24日と25日に東京・渋谷の「シアター代官山」で開催される「マジック日本選手権」だ。主催は東京マジックアカデミーで、日本全国、そして海外から集まる一流のマジシャンたちが、クロースアップ部門とステージ部門で頂点を競い合う。
まず24日には、手元の技術と観察力、心理的な誘導力を競うクロースアップマジック部門が実施される。過酷な予選を勝ち抜いた8名のファイナリストが出場予定だ。
この部門からは、ジョニオ、野島伸幸、イブキ、剛大師、トモの5名が、マジック界の「オリンピック」とも称される2025年FISM世界マジック選手権(来年7月開催)への日本代表として選ばれている。彼らは強力な候補者だが、同じく決勝に進出した山田モロ、イクヒロ、おもちゃマジックを得意とするサンタといった新鋭のマジシャンたちとの対決も見逃せない。
翌25日に行われるのは、壮大な演出や大掛かりな装置を駆使するステージマジック部門。こちらも8名のファイナリストが登場し、その想像力と演出力で観客を魅了するステージを披露する。
この部門では、FISM世界選手権の日本代表・ワナベコウも登場予定。さらに、タイから参戦するミル、韓国のリード・チャンも参加し、もはや「日本選手権」という名称では語りきれない国際的な顔ぶれとなっている。
また、15歳の小川颯翔(おがわ はやて)と14歳のティガーという2人の天才少年も出場し、ベテランたちに挑む。さらに、福室幸永(ふくむろ ゆきなが)と新井翔(あらい しょう)も出場し、決勝トーナメントを華やかに彩る。
優勝者には、賞金100万円(約7,000ドル)と「日本チャンピオン」の栄誉が与えられる。その評価は、日本屈指のマジシャンたちによって下される予定だ。中には、FISMクロースアップ部門で日本人初の優勝者となったオガワ・シュート氏や、マニピュレーション部門で世界3位の成績を収めたイワネ・ユウキ氏も審査員として名を連ねている。
今年のマジック日本選手権は、これまで以上に多様で、国際色豊かなラインアップで構成されており、観客に新たな驚きと感動を届けてくれるだろう。果たして、2025年の頂点に立つのは誰なのか。マジックファンならずとも必見のイベントだ。