政井元審議委員:日銀の情報発信が混乱を招き、早期の調整は困難

政井元審議委員は、最近の日銀の情報発信について植田和男総裁らが緩和政策の修正が近いと市場が受け止めて混乱しているとの見解を示しました。植田総裁の「チャレンジング」発言はマイナス金利の早期解除の観測を高めましたが、政井氏は政策委員9人の決定やそれに伴う公表物が市場との対話の基本となるべきだと指摘しました。

政井氏は、「来年1月や4月といった、市場が予測するようなスピードでの政策修正は考えにくい」と述べました。また、政井氏は日銀の情報発信について、決定会合後の声明文や総裁会見、決定会合での「主な意見」、金融経済懇談会や記者会見、議事要旨が基本であり、国会での質疑は金融政策の対話手段として適切ではないと語りました。

植田総裁の発言や副総裁の講演により、市場では早期のマイナス金利解除の観測が高まりましたが、12月の決定会合では現状維持が決まり、植田総裁も先行きの修正を示唆しませんでした。このため、円が売られ、金利が低下するなどの動きが見られました。

政井氏は植田総裁の「サプライズは必ずしも避けられない」との発言に言及し、「段階を追ったコミュニケーションツールはある」と語りました。また、政井氏は日銀の物価見通し引き上げやYCCの再柔軟化から、コミュニケーションが「非連続」に変化したと述べました。市場ではYCCの形骸化とマイナス金利解除の観測が拡大しています。

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