パランティア、初の四半期売上10億ドル突破―通期見通しも上方修正

四半期決算で予想を上回る好業績

アメリカのソフトウェア企業パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies Inc.)は、第2四半期において売上高が初めて10億ドルを突破し、ウォール街の予想を大きく上回ったと発表した。調整後の1株当たり利益は16セントで、アナリスト予想の14セントを上回り、売上高も予想の9億4,000万ドルに対して10億400万ドルを計上した。

この発表を受け、同社の株価は月曜の時間外取引で4%超上昇。火曜日のプレマーケットでもさらに4%以上値を上げた。

AI導入が業績を後押し

CEOのアレックス・カープ氏は、同社の急成長の背景にはAI技術の導入があると強調。株主宛ての書簡で、「言語モデルの登場、それを支えるチップ、そして当社のソフトウェア基盤が相乗的に機能した結果だ」と述べた。また、「AIの力を現実世界の対象や関係性に結びつけるインフラが、我々の強みである」と語った。

米国市場での急成長

地域別では、米国の売上が前年同期比68%増の7億3,300万ドルに達し、商業部門だけでも同93%増の3億600万ドルに上った。また、米国政府向け事業の売上は53%増の4億2,600万ドルを記録。アナリストの予想(商業部門2億7,300万ドル、政府部門3億9,100万ドル)をいずれも上回った。

この成長には、トランプ前政権による行政効率化政策の影響もあり、同社は契約削減や人員整理などの動きから恩恵を受けているとみられている。

通期見通しを上方修正

好調な業績を受け、パランティアは2025年の通期売上見通しを従来の38億9,000万~39億ドルから、41億4,200万~41億5,000万ドルへと引き上げた。第3四半期の売上予測も、10億8,300万~10億8,700万ドルとし、アナリスト予測(9億8,300万ドル)を大きく上回っている。

さらに同社は、営業利益と年間フリーキャッシュフローの見通しについても上方修正を行った。また、第2四半期における契約総額は22億7,000万ドルとなり、前年同期比で140%増加した。

効率性重視の成長戦略

カープCEOはCNBCのインタビューで、「今後は人員を減らしながらも売上を拡大させる方針だ」と説明。「目標は売上を10倍にしつつ、従業員数を3,600人にまで削減することだ。現在は4,100人いる」と語った。ただし、リストラを行うかどうかについての具体的な方針は明らかにしていない。

株価の変動と今後の注目点

5月には第1四半期決算後、海外の商業事業の売上鈍化への懸念から株価が12%下落したが、今回の発表で市場の信頼は回復傾向にある。今後、AI分野での展開と効率化戦略がどこまで実を結ぶかが、同社の中長期的な成長のカギとなるだろう。

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